カーテンの【形態安定加工】と【形状記憶加工】をご存知ですか?
カーテンは生地の素材や種類によって、裾が広がったりまとまりにくくなる場合があります。
生地そのものの自然な風合いが好き!という方がいる一方で、見た目の美しさや形にこだわる方もいらっしゃいます。
せっかく綺麗なインテリアを揃えても、カーテンだけ残念・・なことになったら気分も落ちますよね。
最近ではお客様の方から「形状安定??でお願いします」などとお声かけいただく事も多く、認知度は高まっているものの、2つの呼び名が混ざっていることも多いため、加工の違いが分かりにくいのだと思います。
そこで今回は、カーテンをドレスアップするための、形態安定加工と形状記憶加工の特徴と違いについて解説します。
形態安定加工とは?
カーテンを縫製した後の加工
形態安定加工は、生地の織り密度やヨコ糸の太さから生じる硬さ・反発によって、カーテンが横方向に広がるのを抑えるアイロンプレス加工です。
カーテンができ上がってから加工するため、作業工程は比較的スムーズです。
従来のカーテンはスタンダード(レギュラー)縫製が標準で、形態安定加工はオプションとして選ぶのが普通でしたが、カーテンの関心度も高まり、最近では多くのメーカーが形態安定を標準縫製としています。
またウェーブが整うので、両開きカーテンの場合、中央の開き口にすきまが生じる事もありますから、オーダーの際は通常よりも少しゆとりをとった方が良いです。(そこはカーテン屋さんにお任せで!)
では、形態安定加工のメリットとデメリットをみてみましょう。
形態安定加工のメリット
〇比較的リーズナブル
〇納期が早い(スタンダード縫製と同じ程度)
〇スタンダード縫製に比べ、生地がまとまりやすい
〇家庭でのお洗濯後3回前後の持続性がある
〇薬剤などは一切使用せず熱と蒸気で加工する
形態安定加工のデメリット
〇生地の硬さなどで加工がかかりにくい場合がある
〇生地の性質によって、丸みのあるウェーブとV字の尖ったウェーブに分かれる
このように形態安定加工は、リーズナブルで納期も早いので手軽にできる一方、種類によっては加工がとれやすくなるケースもあります。
また好みの問題ですが、お客様によってウェーブが尖ったイメージになるのがイヤとう方もいらっしゃいます。
形態安定加工の場合、丸いウェーブではなくV字のように尖った印象なるケースも多いため、拘りのある方は事前に確認した方がいいです。
形状記憶加工とは?
カーテンの縫製段階で行う加工
形状記憶加工は、カーテンができるまでの間に専用の記憶釜にセットし、S字の美しいウェーブを記憶させる加工です。
カーテンの製作段階で加工するため、作業工程に少し時間がかかります。
ウェーブがとれにくいので、特に厚手やハリのある素材など裾が広がりやすい生地におすすめですし、大きい窓や高い窓といった生地のボリュームが出やすいところにも適しています。
またウェーブの形が記憶されるため、アイロンでプレスする形態安定加工とは違い、丸みを帯びた綺麗な形で一定しています。
形状記憶はコストも高めで納期までの時間も少しかかりますが、カーテンが届いてからの楽しみを想像すればかなり満足度の高い加工になります。
では、形状記憶加工のメリットとデメリットをみてみましょう。
形状記憶加工のメリット
〇S字状の丸みを帯びた美しいウェーブ
〇レールに吊すだけで均一なウェーブに
〇カーテンを束ねたとき綺麗にまとまる
〇頻繁に開け閉めしても形がもどる
〇洗濯後5回までは効果が十分持続。半永久的なものも。
〇洗濯後のアイロンがけは不要
〇薬剤などは一切使用せず熱と蒸気で加工する
形状記憶加工のデメリット
〇納期が遅い(スタンダードや形態安定に比べ更に2~3日かかる)
〇カーテン両端(裾の折り返し部分)に錘(ウェイト)が入らない。
〇1.5倍ヒダには対応不可(対応可能なメーカーもある)
〇縫製済みのカーテンには加工できない
〇裏地付きカーテンには加工ができない(一部例外あり)
このように形状記憶加工は、美しいウェーブが長く楽しめる一方、1.5倍ヒダのカーテンにはほぼ対応できない等の条件もあります。
また熱で形状を記憶させることから、通常カーテン両端の裾に入っている錘(ウェイト)が入らないのも特徴です。
※錘(ウェイト)→カーテンの重力を下に保つためのステンレス製のおもり
カーテン裾の端っこに何か写っていますね。この白い布に包まれているものが、一般的なカーテンに付いている錘(ウェイト)です。
形状記憶加工は熱で圧縮するため、このウェイトが溶けてしまいます。なのでウェイトは入りません。
加工のサイズに制限がある
いずれも加工のサイズには制限があります。
●形態安定加工→(カーテン1枚の仕上がり巾約300cm前後。高さは約260~280cm前後)
●形状記憶加工→(カーテン1枚の仕上がり巾約300cm前後。高さは約280~300cm前後)
「形態安定・形状記憶」取扱いの注意点
お取り扱いについて
いずれも薬剤等は一切使用せず、ポリエステルの性質を活かした熱による加工となります。
よって高熱を加えるとせっかくの美しいプリーツが取れてしまうことにもなりますので、エアコンの吹き出し口やヒーターなどの高温を直接受ける場所での使用は避けた方が良いです。
お手入れについて
自宅でのお手入れが可能な生地は、ヒダごとにたたみ洗濯ネットに入れて洗うのがおすすめです。
お洗濯の後は、カーテンレールにそのまま吊るして自然乾燥すればOKですのでお手入れも簡単です。
その際、絶対に乾燥機は使わないよう注意しましょう。
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